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目次
①これからの社会におけるコーディネーターの必要性
私たちが迎えつつある超高齢者社会では、もはや高齢者は特定のニーズをもつ少数の部分集団ではなく、社会の中心的な階層として意識されることとなる。前期高齢者層にはますます社会参加が求められ、個人に応じた参加のあり方が模索されることとなる。さまざまな得意分野や若いころに培った専門職能などがそれぞれに発揮されるようになり、また常勤ではない部分的な雇用形態も多様化し、高齢者間においても多様な人々の調整が必要となることが予想される。ケアサービスが必要となりやすい後期高齢者層においても、これらの人が増加していくことにより、その内容はますます多様化し、サービスの種類も複合化、総合化していく傾向にある。
多様な人々のニーズとそれに対する対応が求められる社会が展開していくなかで、福祉の分野においても、さまざまな身体障害をもつ人や、外国人など情報に制約があることなどによりコミュニケーションの不得意な人、精神障害や知的障害のある人、子育て中の家族や子ども・幼児など、多様な人に対して暮らしやすい社会づくりが課題となりつつある。環境整備においては、個別にバリアフリーの考え方から、だれにでも使いやすい環境整備をあらかじめ整備しておこうとする【●●●】のあり方へと考え方が移行してきている。住宅についても、市場の対象となりにくい人々に対して、きめ細かいセーフティネットの対策が必要とされている。
人々の多様性に加えて、さまざまな福祉を支える技術のさらなる進展やケアサービスを提供する事業者の多様化も進み、提供手段の多様性も予想される。また、雇用形態も多様化し高齢者みずからサービスの提供側になることもあり、それも部分的には役割の交代なども考えられる。たとえば、通所によって食事などのサービスを受ける立場にある人が、趣味の教室などの講師をみずから務めるなど高齢者ゆえの長年の経験の蓄積などを活用しサービスを提供する立場にもなるということも想定できる。このように多様な人が参加することのできる、いわば【「●●●」】のしくみが、地域社会においても実現されるようになってきている。
これら多様化する社会構成の中で、住環境整備の分野は、【●●●】・【●●●】・【●●●】との連携は当然のこと、教育や文化、労働、消費者保護、環境、防災、防犯などほかのさまざまな行政の分野とも協働していくことが必要となり、これらの分野を横断的につなげていくコーディネーターの役割はますます重要となってくるといえる。
②地域社会づくりへの展開
人々が主体的に文化的な生活を営むためには、時間的・空間的な連続性の中にその人の自分らしい生き方が位置づくことが重要であるといえよう。
生活に何らかの支援が必要な人が自分らしさを貫徹するためには、その人の生活の仕方についての【●●●】を促し援助することが求められる。このためにはさまざまな職種間の協働作業としての連携(【●●●】)が求められ、それは、地域においては多様な人々の参加による合意形成の方法として展開される。個々人は孤立して生きているのではなく、生活は地域の人々の中で形成されるものだからである。このことを実践しようとする人には、よりよいコミュニティを築きあげていくという強い倫理的基盤が求められている。
また、ある人が生活する空間としては、単に生命を維持するだけの最小限の空間が確保されるだけでは十分ではなく、それが地域社会の文脈中に位置づいて初めて自分なりの文化が保たれることとなる。特に認知症の人の生活においては、本人の【●●●】に基づく連続した【●●●】が何よりも重要となり、そのための生活空間も地域環境に拡がりをもった行動的空間として理解される。
福祉住環境整備の分野において今求められていることは、施設あるいは住宅という単体の物理的環境の「【●●●】」的な整備だけではなく、道路や交通手段を含めた「【●●●】」的な展開、それによって形成される地域への「【●●●】」的な展開であるといえる。単体としての住環境整備の技術についてはもちろんだが、実際の住環境形成を有効に展開していくうえでは、共生のまちづくりや地域社会づくりの技術が欠かせない課題としてある。
当然のことながら、地域のよって既存の環境も文化も異なり、また自治体によって制度や仕組みも異なることが多い。地域に即してかつ臨機応変にこれらに対応することは、一度の知識習得的な学習では不可能であり、よりよい地域社会づくりの一翼を担うとの自覚の下、不断の研鑽、情報収集や地域社会の同行の把握が不可欠となる。
地域においては、住環境整備は新築の建設だけでなく、空き家、空き室などの既存資源を活用しながら転用や改修、【●●●】変更などにより、よりよい空間を創出する必要性も急速に高まっている。さらには、物理的環境に限らず、【●●●】環境、【●●●】環境を含めた包括的環境づくりの視点が重要となる。また、インクルージョンの立場から、社会から排斥(はいせき)される人が出ないよう配慮することが重要で、そのためには誰でも情報アクセスのできるような情報環境づくりも課題となっている。
福祉住環境を考えたときには、これらのさまざまな時間的に変化し多様化している要素を総合的に俯瞰し、実際に活用できる【●●●】を具体的に探し出し、評価し、適用する技術を身につけた人が地域社会に必要となってきている。
プロセスのデザインと参加
これまで住宅の設計指針や福祉のまちづくりガイドラインなど、【●●●】としての福祉住環境整備は、最も具体的なガイドラインとして寸法や分量など施工のための「【●●●】」を示したマニュアルなどに従って整備されてきた。これは、各地の自治体で利用されることによって普遍化が進み、一定の成果を上げてきている。さらに、実際の寸法だけではなく、使用者と行為の内容や利用範囲を明示する「【●●●】」的なマニュアルも試みられている。しかし、今後は、環境づくりの「【●●●】」をするようなガイドラインやシステムが求められることとなる。
ユニバーサルデザインの推進のためには、継続的な評価や実行を繰り返すことによってスパイラルアップ型のデザインプロセスを行っていくことが、近年協調されるようになってきた。【●●●】(計画ー実行ー評価ー改善)の一連のプロセスの方法を決めて、それを実行することが、当事者のニーズに適合した環境づくりの実践方法として重要なサイクルとして認識されている。
福祉住環境をコーディネートする場合、まず個別の利用者のニーズの把握調査から始まり、ともに立案し環境づくりの一連のプロセスを見届け、進捗管理をし、使用後評価までも行えるよう、時間的に継続して利用者とかかわっていくことが必要となる。そして、その実際のコーディネート活動においては、あくまでも具体的な方向性を決するのは当事者本人であるということが基本となる。さらに、複数の当事者や利害関係者から成る地域社会においては、単純に一人の当事者の意見を聞くだけではない。コーディネーターとして活躍するためには、さまざまな考え方をもつ地域住民の意見を引き出し、合意形成にまで導いていくためのコミュニケーションの技術や資質が必要となる。ニーズ側だけではなく、サービスを供給する側の行政、民間のそれぞれの役割をバランスよく編成することも求められる。これらの活動の際にも、一連の継続した評価と改善を含めたスパイラルアップの方法が取り入れられることが求められている。
当事者本人の参加という理念は、高齢者、障害者のための施設環境整備などにおいて近年進みつつある、生活とケアの個別性への対応という概念の基礎ともなっている。環境づくりの個性への対応には、当事者の自己決定に基づく参加が不可欠となり、また、この参加を促す技術をもった人材や組織が必要となっている。