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福祉用具の選び方①特殊寝台(介護ベッド)

1.介護ベッドを使う目的と効果

介護保険で特殊寝台(介護ベッド)を利用するためには、その目的と効果を理解しておく必要があります。ただ便利なものとして利用するだけでは、ベッドの依存した生活になり※廃用症候群にもなりかねません。

【介護ベッドの利点】

  • 寝返り、起き上がりが楽になる。
  • 立ち上がりが楽になる
  • 端座位がとれる、車いすなどへの移乗がしやすい
  • 介護、介助が楽になる
  • 布団の上げ下ろしをしなくてもよい

2.介護ベッドの大きな役割

【寝心地】

寝具として最も優先するべき点で、安眠、熟睡できるものでなければなりません。その意味ではマットレスの機能(軟らかさ、固さ、耐圧分散性、通気性)も含めて寝具としてとらえなければならないでしょう。

【離床動作】

離床動作とは、寝返り、起き上がり、端座位(ベッドの端で座る体位)、立ち上がりのことで、これもマットレスの機能を併せ持って考える必要があります。

【床上動作】

ベッド上で食事、清拭、排せつなどの生活動作のことで、疾病などどうしてもベッド上で生活しなければならない人に対し、より生活しやすく、介助者をサポートできる機能が備えられている必要があります。

3.具体的なベッドの機能

【背上げ機能】

自分で起き上がるのが困難の方が使う機能で、背中のボトムボードを70度程度まで上げることで起き上がりを補助します。食事介助の時は、30度程度の背上げが望ましいでしょう。

【膝上げ機能】

身体が足側に滑ることを防ぐための機能です。下腿部全体が水平に上がる機能と膝が上がるとともに足先が下がる機能もあります。足の浮腫(むくみ)の予防・解消に利用するケースが多いです。

【昇降機能】

ベッド全体の高さを調整するための機能です。立ち上がりがしやすい高さに調整します。ベッドの高さが低すぎると立ち上がりにくくなります。適切な高さ(立ち上がりしやすい)に調整しましょう。また、低床でつかうために20㎝程度まで下げて使う場合は、下降操作時、いったん自動で停止する高さがあります。さらにボタン操作で低くできるようになっています。この機能は、ベッド下部にペットなどもぐりこんだ時に事故にならないような配慮にもなっている機能です。

4.ベッドを選定する前の確認事項

【部屋の広さと環境】

ベッドはミニタイプのものでも外寸で200㎝×100㎝程度あります。狭すぎると仮に設置できたとしても、離床の際の通路が狭すぎるとか、介助ができないなど問題がでてきますので、できれば十分なスペースの確保が必要です。
車いすを利用されている場合は、特に事前のお部屋の寸法の確認をしておきましょう。
畳の部屋でも特に問題ありませんが、絨毯を重ねすぎたりすると安定感が保てない場合があります。冬場寒さ対策で絨毯、カーペットを敷く場合は薄めのものが無難です。また、ベッドの足部分にゴムマットなどがセットで設置するようになっていますので、跡が少々残る程度です。トイレや廊下など生活動線上どうしてもも畳の部屋に設置しなければならない場合は生活動線を優先しましょう。

介護予防、離床を促進する身体状況の方が利用する場合は、寝室はできるだけ独立させることを考えましょう。寝室を独立させると日中ベッドから離れる生活を送ることができます。テレビなどがあればベッド上で過ごすことが長くなることもあります。

【適応伸長】

ベッドには縦横幅のサイズがおおよそ3段階に分かれています。

●縦
身長 ベッドサイズ
150㎝未満 ミニタイプ(実寸180㎝)
150㎝以上170㎝前半 レギュラータイプ(実寸191㎝)
170㎝後半以上 ロングタイプ(実寸205㎝)
 
●幅

83㎝タイプ
91㎝タイプ
100㎝タイプ
※メーカーによっては120㎝というのもある。
基本的には、レギュラータイプで問題ないでしょう。

 

【マットレス選び】

マットレスは、特殊寝台付属品としてのマットレスと、床ずれ防止用具としてのマットレスがあります。身体の状態、特に褥瘡(床ずれ)ができている、できやすいという方は、床ずれ防止用具としてのマットレスを選びましょう。
マットレスは硬めのもの、やわらかめのものがあります。基本的に、硬いものは動きやすく寝返り起き上がりが楽にできます。また、腰痛持ちの方は硬めのタイプがよいでしょう。床ずれや骨折して動けないような状態であれば比較的やわらかめを選びます。これも状態に応じて選定が必要です。PT(理学療法士)、OT(作業療法士)などの専門家に身体状況をチェックしてもらい選定しうてもらいましょう。

5.安全に利用するための注意事項

注意
  • サイドレールを手すりとして使用しない。
    サイドレール寝具の落下防止や寝返り時につかんだりするもので手すりとして利用してはなりません。緊急時、例えば救急搬送時に救急隊がすぐに救助できるよう上に引けばすぐ外れるようになっています。身体を預けたりすると転倒など事故の原因になりかねません。また、がたつくので紐で結わえて固定するのも×です。
  • 背上げ機能を使うときにサイドレール(ベッド柵)に手を差し込まないようしましょう。