目次
1.フィッティングとは
【車いすフィッティング】
車いすを選定する上で重要なフィッティング。車いすのフィッティングとはどういうことなのか
まずは理解しておく必要があります。
フィッティングが上手くいっている車いすとは、シートが体にあって座位が保てる状態というのを思い浮かべがちですが、
少々意味合いが違います。上記の状態はあくまで「シーティングがよい」というものでフィッティングでありません。
そこで、まずフィッティングとはどういうことなのか?
定義をしていきます。
フィッティングとは、車いすの利用者を中心に、その車いすを身体、環境、目的、社会的に適合させる流れのことです。
車いすが身体にあって座り心地がよくても、週に1回しか利用せず保管場所がなく他の家族にとっては邪魔な存在ではいけないということです。
1、誰が
2、どこで
3、何のために
この三つの視点を常に意識してフィッティングを行います。
1誰が
これは利用者のことです。利用者は大人なのか子供なのか、男性なのか女性なのかなどです。これによりサイズが異なります。
「身体・心理的」適合
2どこで
利用場所、場面を考えます。それは室内で使うのか、屋外でつかうのか、学校や職場で使うのかなどです。
「環境的」適合
3、何のために
これは目的です。昼間ベッドから出て主に椅子の役割として使lうのか、外出時の移動のためだけに使うのか、など、目的によって機種は大きく変わってきます。
「目的」適合
この三つを常に意識して車いすは選ぶようにしましょう。
また、知識がある人ほど車いすのフィッティングで陥りやすい点があります。それは、技術的な特徴にとらわれすぎて本来の目的に焦点があっていないことが多々あります。屋外で運動会を見るために本革の椅子は必要ありません。
利用者や介護者の目的に合ったものはなにか?という点を常に意識して振り返るようにしましょう。
2.フィッティングの技術
座位姿勢
いわゆるシーティングというもので、まず最初に「利用者がどのような座位姿勢をとれるようにするか」を決めます。
仙骨座りや片側に偏った座り方を修正して真っ直ぐ座らせるのかなどですが、ここで重要なことは、目的の姿勢を長く保つ姿勢の固定化ではなく、、目的に応じてたとえば背中がかゆいときはかけるような姿勢になるというように、いつでも柔軟に「様々な姿勢が楽にとれる」ということが大切だということを常に意識しましょう。
技術的シーティング(車いす選定の流れ)
-
座幅
介助用では、使用者の腰幅に4~5㎝(太腿とサイドガードの間1.5~2.0㎝)余裕を持たせます。
自走用の場合は、腰幅に3~4㎝。奥行については、座シート末端と膝の後ろに3~4㎝間隔をとるのが理想です。 -
.座面の高さ
・通常の場合
下腿長(くつ、装具含む)+クッション高さ+4㎝が目安・足漕ぎをする場合
下腿長(くつ、装具含む)+クッション高さが目安※低すぎる座面は、仙骨座りの原因となります。
※通常車いすの座面は、前座高に対し後座高が低い設定になっており。傾きは4度前後が標準となっています。 -
バックサポートの高さ
肢に連動した肩甲骨の動きを妨げないようにするためです。リクライニング式の場合は、上体を支えるために頭部まで高さがあるものが一般てきです。
40~45㎝が目安です。 - フットサポートの位置
床から5㎝以上の状態で、太ももが軽くシートに触れている位置で合わせます。 - アームサポートの高さ
肘を90°に曲げた時に、シートから肘までの高さ+クッション高さ+1~2㎝上方で合わせます。
※アームサポートが低すぎると、前屈しやすく頭部がつられて前方に傾いたり、左右に体幹が傾いたり、仙骨座りになることもあるので慎重な選定が必要です。 - グリップ(ハンドル)の高さ
グリップは、介助者の負担がかかる部分です。押しやすい高さの車いすを選定しましょう。
介助者の押しやすい高さの目安は、87㎝~95㎝(おへその位置)です。 - 前輪の大きさ
後輪は、介助式と自走式で違いがありますが、前輪は通常5、6インチのキャスタのものが使用されています。
前輪の大きさが1インチ(2.54㎝)大きくなると登れる段差は5㎜弱増えます。前輪の大きさが大きいほど、凹凸に強く段差を乗り越えやすくなります。幅についても同じです。使用環境に応じて大きさを選定するようにしましょう。 - クッションの選定
車いすクッションは、その目的として①耐圧分散、②姿勢保持、③動作の補助の3点です。しかし、すべてを満たすことはできないので優先順位を決めて選定しましょう。
特に、材質においてその機能が変わります。ウレタン系の特徴は、形状を作りやすく様々な硬さや反発のあり種類が多いので座位保持に優れています。その反面、へたりなどが出やすく耐久性に欠ける部分があります。エア系、ジェル系は体圧分散性が高いので褥瘡など疾患がある方に向いています。
また、介護保険を使ってレンタルで利用する際には、レンタル料金も大きな差があるので、選定のポイントとなります。
車いすの寸法はJIS規格(JIS T 9201)に定められています。
全幅70㎝以下・全長120㎝以下・全高120㎝以下
※電動車いすも同じ
3.まとめ
車いすフィッティング・選定の手順まとめ
- リクライニング、ティルト構造の選択
- 座幅・座の奥行を決める
- 座面の高さを決める
- バックサポートの高さを決める
- アームサポートの高さを決める
- 前後輪の大きさを決める
- グリップの高さを決める
- クッションを決める