社会福祉施策の展開と地域住民に関する問題（模擬）

日本国憲法第25条に国民の最低限度の生活保障に対する国の責務が明記され、それ以降さまざまな社会福祉制度が整備された。その制度体系の大枠を示したのが、1950（昭和25）年に社会保障制度審議会より出された「コミュニティ形成と社会福祉」である。

コミュニティケアは、イギリスの身体障害者の医療分野で構想されたものであり、身体障害者の社会復帰を促し地域での自立生活を実現するために、病院内ではなく、地域に居住の場や各種の支援サービスを整備し、病院との連携システムの下で支援を行うというものであった。

1951（昭和26）年に制定された社会福祉事業法において、社会福祉は社会福祉事業経営者や関係者によって進められるものという考え方が明確にあったため、制度上は地域社会や地域住民が登場する余地はなかった。

社会福祉法第4条により、地域住民は、社会福祉事業の経営者などと並んで、理解し協力する客体の立場として、地域福祉を推進しなければならない。

「地域福祉」とは、「地域における社会福祉」を短縮した言葉であり、法の中だけで使われてきたものであった。しかし、2000（平成12）年の「社会福祉法」の制定により、この「地域福祉」という言葉が実践や研究の場面でも頻繁に使われるようになった。