障害者ケアに関する問題

「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律（障害者差別解消法）」では、すべての障害者を法の対象にしている。その中でも、特に女性の障害者については障害に加えて女性であることにより、さらに複合的に難しい状況に置かれる場合があることに留意するよう基本方針に明記されている。

高次脳機能障害とは、一般に、外傷性脳損傷、脳血管障害等により脳に損傷を受け、その後遺症として生じた記憶障害、注意障害、社会的後遺障害などの認知障害などを指す。しかしながら、一見して症状が障害によるものかどうかを判別しにくい
ことから、十分な理解や適切な対応がなされてこなかった。

発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害（LD）、注意欠陥多動性障害（ADHD）などに類する脳機能の障害であって、通常はその症状が低年齢で発現するものをいう。

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律（心神喪失者等医療観察法）」が2005（平成17）年に公布されたが、一方で同法に基づく施設の整備や地域社会における処遇は必ずしも円滑に進んでいない現状がある。

精神保健福祉行政は、これまで市町村と保健所を中心に行われてきたが、近年では、入院医療中心の施策から社会復帰が中心になってきたことを受けて、より専門性の高い都道府県の役割が大きくなってきた。1994（平成6）年制定の「地域保健法」に基づく基本方針でも、都道府県の果たす役割が重視されている。