地域で支える障害者ケアに関する問題（模擬）

2016（平成28）年から施行された「障害者差別解消法」は、「障害者基本法」第４条を具体化した法である。障害を理由とする差別等の権利侵害行為の禁止などを図るための取り組みであり、その実施について合理的配慮は不要とされている。

1990年代にアメリカ合衆国で発展した自立生活運動（IL運動）の影響を受けた新しい自立観は、身辺自立や経済的自立のいかんに関わりなく、自立生活は成り立つという考え方を提起したものである。

2012（平成24）年から施行されている「障害者虐待防止法」は、医療機関の管理者には、虐待防止の措置をとることを義務づけているが、学校、保育所の管理者には義務づけされていない。

自己決定権の行使を保障するための考え方として、自己決定などの主体性を奪われた人が支援を受けて主体性を取り戻すためのアドボカシー制度や、自己決定能力の低下した人の権利を守るためのエンパワメントがあり、それらが今日ソーシャルワークの重要な方法となっている。

わが国の障害者ケアは、国際障害者年を契機として、ノーマライゼーション、すなわち地域社会で、皆と一緒に、普通の生活をすることを目指し、施設サービスを中心とした福祉から在宅を中心とした福祉へと転換した。