高齢者・要介護者向け住宅・施設の流れに関する問題（模擬）

居住施設は、あまり大規模になると住宅とはかけ離れて地域から浮いた存在となりやすい。そこで、地域に溶け込むための手法として、施設のサテライトとして小規模な拠点が地域に分散する形態が見られるようになっている。

「逆デイサービス」には、小規模の施設環境では受動的になりやすい人が、大規模な施設環境で主体性を取り戻すきっかけになるなどの効果が見られている。

現在必要とされている介護空間とは、自立介助よりも自立促進のための契機であり、高齢者のエンパワメントのための仕掛けである。そして、それは制度的な施設環境よりも小さな共同体の環境においてこそ可能になる働きかけである。

介護保険をはじめとするハウスアダプテーションとしては、原則として個人のニーズに最適な改造が求められるが、家族やケアする人、地域の人のための適合性を配慮した改造も必要とされる。

最近では、古い民家などを改修し、もともと地域にある生活習慣や過ごし方を踏襲できるようなデイサービス、小規模で家庭的な環境における宅老所やショートスティなど、さまざまな工夫が見られるようになってきたが、これはコンバージョンというよりアダプテーションと言える。